『そして誰もいなくなった』アガサ・クリスティー【あらすじと感想】

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こんにちは、akaruです。

「ミステリーの女王」と名高いアガサ・クリスティー。

「名探偵ポアロ」や「ミス・マープル」といったシリーズものが有名ですが、ノンシリーズにおいても素晴らしい作品を残しています。

その中でも『そして誰もいなくなった』は代表作に挙げられることも多い作品です。

本記事では『そして誰もいなくなった』のあらすじと感想をご紹介します。

『そして誰もいなくなった』をおすすめできるのはこんな人
  • 推理小説が好き
  • クローズド・サークルミステリーが好き
  • 見立て殺人が好き

『そして誰もいなくなった』作品概要

  • 著者:アガサ・クリスティー
  • 発行:1939年
  • ジャンル:推理小説

『そして誰もいなくなった』あらすじ

デヴォン州の海岸沖に浮かぶ孤島・兵隊島。

職業も年齢もばらばらの8人が、それぞれ招待状を手に兵隊島を訪れる。

到着した彼らを出迎えたのは、執事とその妻。

しかし、招待主であるオーエン夫妻は不在という奇妙な状況だった。

その夜。夕食後の和やかな空気が流れるひとときを、執事夫妻を含めた10人の過去の罪を告発する声が蓄音機から響き渡る。

そして童謡の歌詞になぞらえたように最初の犠牲者が出る。

『そして誰もいなくなった』感想

『そして誰もいなくなった』は、孤島・兵隊島を舞台とした連続殺人事件が起きるクローズド・サークルミステリーです。

兵隊島に集められた10人は次の通りです。

  • ロレンス・ウォーグレイヴ
    • 元判事
  • ヴェラ・クレイソーン
    • 体育教師
  • フィリップ・ロンバード
    • 元陸軍大尉
  • エミリー・ブレント
    • 老婦人
  • ジョン・マッカーサー
    • 退役将軍
  • エドワード・アームストロング
    • 医師
  • アンソニー・マーストン
    • 青年
  • ウィリアム・ブロア
    • 元警部
  • トマス・ロジャーズ
    • 執事
  • エセル・ロジャーズ
    • 執事の妻

招待された人々

物語は、ロジャーズ夫妻以外の8人が兵隊島へ向かうところから始まります。

それぞれの名前や立場の他、兵隊島へ行くことになった経緯や心中などが順番に描かれています。

『そして誰もいなくなった』には特定の主人公というものがないので、読者はここで登場人物たちの基本的な情報を知ることになります。

登場人物たちが招待主や兵隊島のゴシップに思いを巡らせるさまを読んでいると、兵隊島への期待や何かが起こりそうな予感が高まっていきました。

とはいえ、8人が次から次へと出てくるので最初は誰がどんな人か覚えるのが大変でした。登場人物紹介ページが有難かったです。

しかし、さすがはクリスティー。

この時点ですでに仕掛けが始まっていたことを私が知るのは、ずっと後になってからでした。

十人の小さな兵隊さん

『そして誰もいなくなった』は、童謡「十人の小さな兵隊さん」になぞらえた見立て殺人でもあります。

  • 招待客に用意された各部屋には、童謡の詩が額に入れて飾られていた
  • ダイニングルームには、10体の小さな陶器の人形が置かれていた

「兵隊島」という名前もあって最初は面白いアイデアだと思う登場人物たちですが、やがて別の意味を持つことに気づきます。

  • 童謡の歌詞になぞらえて殺人が起こる
  • 一人殺されるごとに人形がなくなる(もしくは破壊される)

兵隊島に集められたのが10人で、童謡に出てくる兵隊さんも10人ということは、登場人物全員が対象となっていることを暗示しており、緊迫感も高まります。

童謡やマザーグースにあまり馴染みがない私は、歌詞を読んでもなんだか怖いなとしか思いませんでした。

しかし最後まで読むことで、この童謡がこの物語にぴったりであったことがわかり、唸らずにはいられませんでした。

U・N・オーエン

登場人物たちは自分たち以外の人間がいないか島を捜索しますが、分かったのは自分たち以外はいないということでした。

つまりは、招待主オーエン(=犯人)は自分たちの中にいるということ。

登場人物たちは、事実をもとに容疑者から外せる者を検討しますが、誰も除外できないと結論付けられます。

普通の顔をして隣に座っているが、実は頭のおかしい犯人なのではないか?

次は自分の番ではないか?

この緊迫感ある状況に対して、現代人である私は「スマホがあれば助けもすぐに呼べるのにな」などと無粋なことを考えてしまいました。

しかし、逆にスマートフォンなどの技術がなければ、生身の人間ができることなんて刊行当時とそれほど変わってないのですよね。

例えば、殺人鬼の手が迫っていてこのままでは順番に殺されるのに、自分がいるのは絶海の孤島で、様々な状況が重なって全員のスマートフォンは使用できない(充電切れ、壊れた、紛失etc)。

想像してみると、一気に登場人物たちの絶望が身近に感じられるようになりました。

そして誰もいなくなった

一人また一人と命を落とし、最後の一人が自ら首を吊ることで見立て殺人は完成します。

その後、エピローグで語られる警察の捜査の様子でも10人全員の死亡が確認されました。

最後の一人が犯人と思うところですが、描写から違うと考えられます。

しかし既に書いた通り、兵隊島に他に人間はいませんでした。

では、誰がどうやってこの連続殺人事件を行ったのか?

私は全く分かりませんでした。

一番最後、犯人による告白文により計画の全容が明かされて初めて、この巧妙に仕組まれた罠を理解しました。

しかし犯人が分かってから改めて読み返してみると、犯人を示唆する描写は随所にあることが分かります。

今なお読み継がれ、新たな作品に影響を与え続けていることが納得の作品でした。

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