こんにちは、akaruです。
恩田陸さんの名前は、『夜のピクニック』(本屋大賞受賞)や『蜜蜂と遠雷』(直木賞・本屋大賞W受賞)などで聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
シリーズものも複数展開している多産な作家さんです。
本記事では『球形の季節』のあらすじと感想をご紹介します。
- 学園小説が好き
- 少し不思議なお話が好き
- モダンホラー小説が好き
『球形の季節』作品概要
『球形の季節』あらすじ
東北の架空の都市・谷津。
如月山の麓に居並ぶ四つの高校では、奇妙な噂が広がっていた。
四つの高校の合同クラブ「谷津地理歴史文化研究会」(通称:地歴研)では追跡調査のためアンケートが作成されるが、後日その噂どおりに一人の少女が姿を消してしまった。
時を同じくして、金平糖によるおまじないも町中に広がっていた。
『球形の季節』感想
『球形の季節』は、デビュー作に次ぐ恩田さんの二作目で、モダンホラーの長編小説です。
率直な感想としては、第1章、第2章はとても読みにくく、結末に関してもかなり好みが分かれる作品かと思います。
しかし、やはり恩田さんらしさが随所に出ていると思わされる作品です。
学園小説として
『球形の季節』の主要人物たちは、架空の地方都市・谷津にある四つの高校に通っています。
主要人物は下記の通りです。
前作の『六番目の小夜子』も地方の高校を舞台とした学園小説でしたが、高校生活を送る印象は全く異なります。
『六番目の小夜子』が「ザ・きらきらな青春」とすると、『球形の季節』ではもっとのんびりしてインドアな感じです。また、『球形の季節』の方がより「地方に生まれた者」の心情が伝わってくる気がします。
みのりは谷津に愛着を感じるとともに、谷津を出ることに漠然とした不安を抱いています。
対して弘範は、何もないテンポも遅い谷津を早く出たいと思っています。
私も地方出身のためか、どちらの気持ちにも共感できました。
『六番目の小夜子』のあらすじと感想はこちらをご覧ください。
モダンホラー小説として
奇妙な噂や金平糖のおまじないは、同じ黒幕によるものでした。
谷津という場所は、今見えている姿と重なるようにして「本来の谷津」があり、そこにある川を飛び越えることで、何ステップもの進化の過程を飛び越えることができるそうです。それを黒幕は「跳ぶ」と表現しています。
たいてい川を渡るのは深い悲しみを経験した者だけれど、もっと自力で飛び越えることができる人がいるはず、との思いを抱いたことで、今回の騒動になるわけです。
要するに、孤独だったからもっと仲間を増やそうということかなと。
しかし、一度川を越えたら元に戻ることはないのです。
跳んだあと、世界がどのように見え、自分がどのように感じるのか。
まったく興味がないという方は少ないのではないでしょうか。
しかし、メリットとデメリットを比較して、自分で選択できることが大切だよなとも思います。
また、私がこの作品で一番怖かったシーンは、噂のエンドウさんが消えた日の、お母さんの描写です。
娘が時間になっても帰ってこない。
最初は寄り道してるんだと自分に言い聞かせるものの、全然帰ってくる気配がなく、夫が帰宅した際には火にかけた鍋をそのままに、学校や友人の家に電話を二回半かけ終えていた…
ここの心理描写が秀逸で、読んでいるこちらも動悸が激しくなりました。


